国語 第2章
小説・物語
要点編
オリジナル短編の心情・情景読解
ここは参考書パート(要点編)です。市販参考書と同じく「読んで理解 → 例題で流れを追う → チェック」の順で進めてください。理解チェックができたら問題編へ。
① この章のねらい
小説は、人物の行動・会話・情景を通して心情の変化を描く文章である。気持ちが直接書かれない場面では、前後の出来事としぐさが根拠になる。人物関係と場面の変化を整理し、誰の視点で描かれているかを確かめる。感想ではなく本文の表現から答えることが重要である。
- 人物関係を整理できる
- 心情変化を追える
- 行動から心情を推測できる
- 会話の意図を読める
- 情景の効果を説明できる
- 比喩を説明できる
- 根拠付きで記述できる
- 場面が変わるところは、多くの場合、段落の変わり目と重なるという基本を確認する
- 「これ」「それ」が何を指すかを、直前の文に戻って確かめる練習から始める
② 重要ポイント(本文)
1.人物関係を先に置く
登場人物の名前、立場、互いの関係を余白に図で書く。会話が多い作品ほど、発言者を取り違えると内容が崩れる。関係が変わる出来事には線を引き、前後を比べる。
2.心情は変化で読む
一場面の感情だけでなく、出来事の前と後で人物がどう変わったかを追う。「初めは」「ところが」「そのとき」は変化の手がかりになる。心情語、会話、行動を時間順に並べる。
3.行動は心情の証拠
黙る、視線をそらす、拳を握るといった描写は、言葉にされない気持ちを示す。行動だけから感情を断定せず、直前の会話や状況と合わせる。解答には心情と、その根拠となる行動を両方書く。
4.会話には本音と建前がある
人物は本心をそのまま言うとは限らない。言いよどみ、繰り返し、短い返事、発言後の地の文に注意する。相手との関係や言えなかったことまで考えると意図が読める。
5.情景は雰囲気を作る
暗さ、音、季節などは、場面の空気や人物の心情を強める働きをする。情景と心情が必ず同じとは限らないので、直前後の出来事を確認する。「何を描写したか」だけでなく「どんな効果か」を答える。
6.視点人物を確かめる
地の文に見える出来事も、特定人物の見聞や判断として描かれることがある。「〜と思った」「〜気がした」は視点の手がかりである。視点人物の知らない情報を勝手に補わない。
7.比喩は共通点を述べる
「〜のようだ」は直喩の形をとる。何を何にたとえたかを示し、二つに共通する性質を説明する。字面どおりの事実として読まない。
8.場面転換を捉える
時刻、場所、登場人物の入れ替わりで場面を区切る。場面が変わると、人物の目的や心情も変わることがある。問題の傍線部がどの場面にあるかを先に確認する。
9.理由は原因までさかのぼる
「なぜそうしたか」は、直前の一文に答えがない場合がある。人物がその行動に至るまでの出来事を追い、きっかけと判断を分ける。結果だけを理由として書かない。
10.人物像は複数の言動で示す
人物像は「優しい」などのラベルだけでは弱い。どの場面で何を言い、何をしたかを二つ以上集める。行動から分かる性格を「〜な人物」とまとめる。
11.題名も読む手がかりになる
題名は作品の中心となる出来事や気持ちを示すことがある。読み終えた後に題名へ戻ると、繰り返し描かれた要素に気づける。ただし題名だけで作品の意味を決めず本文で確かめる。
12.記述は本文語で支える
心情を答えるときは「悲しい」だけで終えない。「〜ので、〜という気持ち」の形にして根拠を添える。本文の重要語を使うと、根拠のない感想になりにくい。
13.部活・学校生活の場面は変化のきっかけを探す
中学生の日常を描く小説では、大会・行事・友人の一言など、日常の小さな出来事が心情変化のきっかけになりやすい。出来事の前後で人物の言動がどう変わったかを比べると、変化のきっかけが特定できる。きっかけとなった出来事は、多くの場合、本文中で丁寧に描写されている。
14.語り手と登場人物を混同しない
「私」が語る一人称でも、語り手が全ての真実を知っているとは限らない。語り手の感想と、別の人物の本音は区別して読む。三人称でも、特定の人物の視点に寄り添って描かれる場面がある。心情問題では、誰の視点で書かれた文かを先に確定する。
15.時間の経過を整理する
小説では、場面が時間とともに移り変わる。時刻や場所を示す語、場面の区切りに注意し、出来事の順序を年表のように並べる。順序を整理してから、心情が変化するきっかけを探す。
16.対になる人物で性格を読む
対照的な二人を並べることで、それぞれの性格や価値観が際立つ。一方の行動だけを見て断定せず、もう一方との違いを観点ごとに並べる。記述では「Aは〜だが、Bは〜」と軸をそろえて書く。
17.余韻のある結末を読み取る
結末で全てが説明されない小説もある。残された行動や情景から、その後の可能性を本文の範囲で推測する。本文にないハッピーエンドや悲劇を勝手に足さない。
③ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 心情推測 | 出来事 → 行動・会話 → 心情 | 本文の根拠を添える。 |
| 比喩 | AはBのようだ → AをBの性質で表す | 共通点を述べる。 |
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 心情 | 人物の気持ち |
| 行動描写 | しぐさや動作の描写 |
| 情景描写 | 場所や自然の描写 |
| 視点 | 物語を見る立場 |
| 比喩 | 別のものにたとえる表現 |
| 場面 | 時・場所・人物で区切る単位 |
| 人物像 | 言動から分かる人物の特徴 |
| 地の文 | 会話文以外の叙述 |
④ 解法・読み方の手順
心情線
- 出来事を順に書く
- 言葉と行動を抜く
- 心情の変化を矢印にする
記述解答
- 人物を確定する
- 根拠を探す
- 心情と理由を結ぶ
章末の定着確認
- この章の重要語を三つ声に出す。
- 例題のうち一題を、答えを見ずに根拠から再現する。
- 誤答しやすいポイントを一つノートに残す。
⑤ 図解
出来事 → 行動・会話 → 心情変化
人物A ─励まし→ 人物B 情景 → 雰囲気
⑥ 例題(読んで流れを追う)
ここは「解く」より「途中式と根拠を追う」ための例です。演習は問題編で。
「陸はラケットを机に置き、小さくため息をついた。」から読める心情は。
考え方・途中式
ため息という行動と、前の文脈(ミスが増える、負けるかもしれない)を結びつけて答える。
答え:大会への不安・自信のなさ
不安な場面で「部屋の明かりだけが白く壁に映っていた」とある効果は。
考え方・途中式
暗い部屋の情景が、心情と響き合う。単なる部屋の説明で終わらせない。
答え:一人で不安を抱える静かな雰囲気を強める効果
「少しだけ口の端が上がっていた」を説明しなさい。
考え方・途中式
断定的な「大喜びした」ではなく、『少しだけ』という程度を表す語を根拠にする。
答え:うれしさや安心が、表情に少しだけ表れた様子。
友人のメッセージを読み、初めて自分の成長に気づいた主人公の心情変化を説明せよ。
考え方・途中式
メッセージを読む前と後の行動・表情の違いを比べてまとめる。
答え:不安な気持ちの中に、少し前向きな気持ちが生まれた。
「悔しさと嬉しさが同時に押し寄せてくるのを、どう受け止めればいいのか分からなかった」場面の効果を答えなさい。
考え方・途中式
結末で心情が単純化されていない点に注目し、余韻を残す効果として説明する。
答え:感情が未整理のまま終わることで、読者に人物のその後を想像させる効果がある。
⑦ 模試・定期テストでの使い方
外部過去問(JS88・リセマム等)の使い分けは過去問・外部資料ガイドを参照。
- 人物名に印を付ける
- 心情語がなくても行動を探す
- 会話後の地の文を読む
- 情景を心情と結ぶ
- 根拠を二つ集める
- 設問の問い方(なぜ/どういうこと/効果)を先に確定してから本文へ戻る。
- 本アプリ模範解答と自分の答案を比較して記述の型を確認。
- ⑤=用語・漢字 ⑥=005net読解 ⑦=記述付き読解(本アプリ)
- ⑦は40〜60字記述を少なくとも1問含める
- 作問定規:005net古典・読解/ちびむす漢字
⑧ よくあるミス
- 感想で答える
- 発言者を取り違える
- 情景を背景で終える
- 一語で心情を決める
- 比喩を字義通りに読む
- 時系列を混同する
- 理由を書かない
- 本文外を補う
⑨ 理解チェック
口頭でもノートでもよいので、全部言えたら問題編へ。
- 人物関係を整理した
- 場面を区切った
- 視点を確認した
- 変化を追った
- 行動を根拠にした
- 会話の意図を考えた
- 情景の効果を読んだ
- 比喩の共通点を示した
- 理由を添えた
- 本文に基づく
- 追加ポイントの内容を自分の言葉で説明できる