国語 第3章
古文入門
要点編
中1レベルの古文・古典常識
ここは参考書パート(要点編)です。市販参考書と同じく「読んで理解 → 例題で流れを追う → チェック」の順で進めてください。理解チェックができたら問題編へ。
① この章のねらい
古文入門では、深い文法分析よりも「古文に親しむこと」を目標にする。歴史的仮名遣いの読み方、古文でよく使う基本語(いと・をかし・あはれ)、係り結びの初歩、月や時刻の古い呼び方(古文常識)を身につける。細かい助動詞の分類や敬語の種類分けは、中学2年以降の学習に譲り、まずは「読める・意味がだいたい分かる」ことを重視する。
- 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直せる
- 基本古語(いと・をかし・あはれ)の意味が分かる
- 係り結びがあることに気づける
- 月の異名を答えられる
- 時刻の古い呼び方の考え方が分かる
- 短い古文をおおまかに現代語訳できる
- 古文は主語が省略されやすいので、まず現代語の文で「誰が」「どうした」を一言で確認する
- 分からない語があっても、一つずつ確認すれば大丈夫という気持ちで進める
② 重要ポイント(本文)
1.歴史的仮名遣いは変換ルールから入る
語の中や語尾にある「は・ひ・ふ・へ・ほ」は、現代では「わ・い・う・え・お」と読む。「思ふ」→「思う」、「けふ」→「きょう」のように、まず数個の例で規則を体になじませる。細かい例外は後回しにしてよい。
2.基本古語は現代語の音から推測しない
「をかし」は趣がある、「あはれなり」はしみじみと心に感じるという意味で使われる。現代語の「おかしい」「あわれ」という音の印象で意味を決めると誤読しやすい。短い例文と一緒に覚える。
3.「いと」は程度を強める語
「いと」は「とても」「たいへん」という意味で、後ろの形容詞・形容動詞の程度を強める。「いとをかし」なら「とても趣がある」となる。まずはこの一語を確実に覚える。
4.係り結びは「気づく」ことが第一歩
「ぞ・なむ・や・か・こそ」という語があると、文の終わりの形がふつうの形と変わることがある。中1の段階では、活用形の名称を覚えるより、「この語があると文末が変わる」という関係に気づけることを優先する。
5.主語は場面から補う
古文では主語が省略されることが多い。誰が話しているか、誰が動いているかを、前後の文や場面の流れから考える。分からないときは、登場人物の名前をいったん当てはめて読んでみるとよい。
6.古文常識:月の異名
一月は睦月、三月は弥生、五月は皐月、八月は葉月、十二月は師走のように、月には古い呼び方(異名)がある。すべてを一度に覚えず、季節の行事と結びつけて少しずつ覚える。
7.古文常識:時刻の古い呼び方
昔の日本では、一日を子・丑・寅などの十二支で区切って時刻を表した。子の刻が真夜中ごろ、卯の刻が明け方ごろというように、十二支と大まかな時間帯を結びつけて覚える。
8.短い古文はまず音読する
古文は、意味を考える前に一度音読すると、リズムや言葉の響きに慣れやすい。読めない語があっても、まずは最後まで読み、それから意味を確認する順で進める。
9.現代語訳は自然な日本語にする
訳すときは、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直し、省略された主語を補い、古語を現代語に置き換える。語順をそのまま移すより、読んで自然な日本語になっているかを確認する。
10.この章の範囲を意識する
中学1年の古文入門では、助動詞の細かい活用・意味の分類や、敬語の種類の判定までは深く扱わない。「歴史的仮名遣いが読める」「基本古語の意味が分かる」「古文常識を知っている」の3点を確実にすることが目標である。
11.歴史的仮名遣いは短い語から練習する
「けふ」「思ふ」「うつくしうて」のような短い語を繰り返し練習すると、変換ルールが自然に身につく。長い文章に進む前に、単語レベルで確実に直せるようにしておく。ノートに「元の形→現代仮名遣い」の対を書き並べると復習しやすい。
12.古文常識をノートに一覧化する
月の異名、時刻の古い呼び方は、一度に覚えるより、出てきたたびにノートへ書き加えていくと定着しやすい。季節の行事や現代の暮らしと結びつけると忘れにくい。表にして壁に貼るなど、視覚的に繰り返し見える工夫も有効である。
13.音読で古文のリズムに慣れる
古文は、現代文とは違うリズムや言葉の切れ目を持つ。意味が分からない部分があっても、まず声に出して読んでみると、後で意味を確認したときに定着しやすい。同じ短い文章を数回音読すると、基本古語が自然に口に出るようになる。
14.係り結びは「言葉探し」から始める
中1の段階では、係り結びを難しい文法として捉えず、「ぞ・なむ・や・か・こそ」という言葉を文章の中から見つける「言葉探し」として練習するとよい。見つけたら、その近くの文末がどんな形になっているかを確認する。この段階を丁寧に行うことが、後の学年での文法学習の土台になる。
③ 公式・用語
| 名称 | 内容 | メモ |
|---|---|---|
| 歴史的仮名遣い | 語中・語尾のは・ひ・ふ・へ・ほ → わ・い・う・え・お | けふ→きょう、思ふ→思う。 |
| 係り結び(初歩) | ぞ・なむ・や・か・こそ + 文末の形が変わる | 活用形の名称は中2以降で扱う。 |
| 月の異名(一部) | 一月=睦月/三月=弥生/十二月=師走 | 季節の行事と結びつけて覚える。 |
用語集
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 歴史的仮名遣い | 昔の書き方。現代仮名遣いとずれがある |
| いと | とても・たいへん |
| をかし | 趣がある・おもしろい |
| あはれ | しみじみと心に感じる |
| 係り結び | 係助詞により文末の形が変わること |
| 月の異名 | 月の古い呼び方(睦月・弥生など) |
| 十二支の時刻 | 子・丑・寅などで表す古い時刻の呼び方 |
④ 解法・読み方の手順
古文を読む手順
- まず音読する
- 歴史的仮名遣いを直す
- 基本古語の意味を確認する
- 主語を補って大まかに訳す
係り結びを見つける
- ぞ・なむ・や・か・こそを探す
- 文末の形がふつうと違うか確かめる
- 強調や疑問のニュアンスを添えて訳す
章末の定着確認
- この章の重要語を三つ声に出す。
- 例題のうち一題を、答えを見ずに根拠から再現する。
- 誤答しやすいポイントを一つノートに残す。
⑤ 図解
は・ひ・ふ・へ・ほ(語中・語尾)→ わ・い・う・え・お
月の異名:睦月(1月)・弥生(3月)・皐月(5月)・葉月(8月)・師走(12月)
⑥ 例題(読んで流れを追う)
ここは「解く」より「途中式と根拠を追う」ための例です。演習は問題編で。
「けふ」を現代仮名遣いに直しなさい。
考え方・途中式
語中の「ふ」は「う」に変わる基本ルールを使う。
答え:きょう
「いとをかし」の意味を答えなさい。
考え方・途中式
「いと」=とても、「をかし」=趣がある、を組み合わせる。
答え:とても趣がある。
月の異名で「弥生」は何月か。
考え方・途中式
季節の行事(桃の節句など)と結びつけて覚えると定着しやすい。
答え:三月。
「花こそ美しかりけれ。」について、係り結びの関係を説明しなさい。
考え方・途中式
中1では活用形の名称までは求めない。「係助詞があると文末の形が変わる」という関係が説明できればよい。
答え:係助詞「こそ」があるため、文末がふつうの言い切りの形とは違う特別な形になっている。
「庭に出でて見れば、花こそ美しかりけれ。」を現代語に訳しなさい。
考え方・途中式
歴史的仮名遣いを直し、省略されている「私」などの主語を補って、自然な現代語にする。
答え:庭に出て見ると、花が美しい。
⑦ 模試・定期テストでの使い方
外部過去問(JS88・リセマム等)の使い分けは過去問・外部資料ガイドを参照。
- 歴史的仮名遣いの変換ルールをまず覚える
- 基本古語は音の印象で訳さない
- 係助詞を見つけたら文末に注目する
- 月の異名は季節の行事と結びつける
- まず音読してから訳す
- 設問の問い方(なぜ/どういうこと/効果)を先に確定してから本文へ戻る。
- 005net古典入門で古文の基本語句・古典常識に触れる。
- ⑤=用語・漢字 ⑥=005net読解 ⑦=記述付き読解(本アプリ)
- ⑦は40〜60字記述を少なくとも1問含める
- 作問定規:005net古典・読解/ちびむす漢字
⑧ よくあるミス
- 歴史的仮名遣いを現代語の音のまま読む
- をかし・あはれを現代語の感覚で訳す
- 係り結びの語があることに気づかない
- 月の異名を覚えずに読み飛ばす
- 主語を確認せず訳す
- 細かい助動詞の分類にこだわりすぎる
⑨ 理解チェック
口頭でもノートでもよいので、全部言えたら問題編へ。
- 歴史的仮名遣いを直せた
- 基本古語の意味を答えられた
- 係助詞に気づけた
- 月の異名を答えられた
- 時刻の古い呼び方の考え方が分かった
- 主語を補って訳せた
- 自然な現代語にできた
- 追加ポイントの内容を自分の言葉で説明できる