理科 第2章
物質のすがた
問題編
身の回りの物質・状態変化・性質
① 導入
この章では、物質を「有機物・無機物」「金属・非金属」で分類し、密度・状態変化・気体の性質・水溶液の濃度・溶解度と再結晶を、 実験の数値から計算できるようにします。この章では化学変化(化学反応式)はまだ扱いません。物質そのものの性質と量の計算に集中します。
1回の演習で全部できるようになる必要はありません。わからないところは繰り返しましょう。 用語の暗記だけでなく、密度・濃度・溶解度の計算を、単位をつけて最後まで実行できることを、少しずつ目指していきましょう。
小学校では、g(グラム)やcm³(立方センチメートル)などの単位や、物には固体・液体・気体の3つの状態があることを習いました。 忘れていても大丈夫です。数字だけでなく単位までセットで読む習慣を、この章でもう一度確認しながら進めましょう。
② 基本概念
有機物と無機物
炭素を含み、燃やすと二酸化炭素と水ができる物質を有機物という(例:砂糖、ろう、プラスチック、木材)。 有機物以外の物質を無機物という(例:食塩、金属、ガラス、水)。
金属と非金属
金属には、次のような共通した性質がある。
- 特有の光沢(金属光沢)がある。
- 電気をよく通す、熱をよく伝える。
- たたくと広がる(展性)、引っ張ると伸びる(延性)。
これらの性質を持たない物質を非金属という。金属以外にも磁石につく・つかないなど、性質は物質ごとに異なる。
密度
物質1cm³あたりの質量を密度という。密度は物質の種類によって決まった値をもつので、物質の見分けに使える。
状態変化と融点・沸点
固体がとけて液体になる温度を融点、液体が沸騰して気体になる温度を沸点という。 純物質では融点・沸点は物質ごとに決まった一定の値になるが、混合物では一定の温度にならない。
状態変化では、物質の粒子の集まり方(すきまの大きさ)が変わるが、粒子そのものの数や質量は変わらないので、 ふつう質量は変化しない(気体になって外へ逃げた場合は見かけ上の質量が減ることがある)。
蒸留
液体の混合物を加熱し、沸点の差を利用して物質を分けて取り出す操作を蒸留という。 沸点の低い物質から先に気体になって出てくる。
気体の性質・発生・集め方
| 気体 | 主な性質 | 集め方 |
|---|---|---|
| 酸素 | 助燃性(燃焼を助ける)、水に溶けにくい | 水上置換法 |
| 二酸化炭素 | 石灰水を白く濁らせる、空気より密度が大きい | 下方置換法(水上置換法も可) |
| 水素 | 最も軽い気体、火をつけるとポンと音を立てて燃える | 水上置換法 |
| アンモニア | 水に非常に溶けやすい、空気より軽い、特有の刺激臭 | 上方置換法 |
水溶液の濃度
溶液全体の質量に対する溶質の質量の割合を、質量パーセント濃度という。
溶液の質量は「溶質の質量+溶媒(水)の質量」であることに注意する。
溶解度と再結晶
水100gに溶ける物質の最大の質量を溶解度という。溶解度は物質の種類と温度によって変わる。 温度を下げると溶解度が小さくなる物質では、溶けきれなくなった分が結晶として出てくる。この操作を再結晶という。
③ 図解
気体の集め方
【水上置換法】水に溶けにくい気体(酸素・水素)
気体 → 水中の集気びん(水を押し出して気体がたまる)
【下方置換法】水に溶けやすく、空気より重い気体(二酸化炭素)
気体 → びんの底にたまる(空気は上へ出ていく)
【上方置換法】水に溶けやすく、空気より軽い気体(アンモニア)
気体 → びんの上部にたまる
蒸留装置と加熱曲線
枝つきフラスコ(水とエタノールの混合物)
↓ 加熱
温度計 ── 枝 ── ガラス管 ── 冷却水(試験管を冷やす)─→ 液体がたまる
加熱曲線(純物質の水の場合)
温度(℃)
100 ┤ ┌─────(沸点で一定:沸騰中)
│ /
0 ┤──┐ /(融点で一定:とけている間)
│ └/
└──────────── 時間
④ 例題
金属Aの質量は54.0g、体積は20.0cm³であった。金属Aの密度は何g/cm³か。
水20gに食塩5gを溶かした食塩水の質量パーセント濃度は何%か。
石灰水を白く濁らせる性質をもつ気体は何か。
純物質を加熱したときの温度変化の記録として正しいものを選びなさい。
⑤ 基本問題
【小学校の復習】次のうち、体積を表す単位として使われるものを選びなさい。
【小学校の復習】水を冷やして凍らせた氷は、固体・液体・気体のどれか。
次のうち、有機物をすべて選びなさい。
金属に共通する性質として当てはまらないものを選びなさい。
体積30cm³、質量237gの金属の密度は何g/cm³か。
水80gに食塩20gを溶かした食塩水の質量パーセント濃度は何%か。
火のついた線香を入れると激しく燃える気体は何か。
水に非常に溶けやすく、空気より軽いため上方置換法で集める気体は何か。
⑥ 標準問題
水とエタノールの混合物を枝つきフラスコに入れて加熱し、出てきた気体を冷やして液体を集めた。 最初に出てくる液体には、水とエタノールのどちらが多く含まれると考えられるか。理由も含めて説明しなさい。
濃度15%の食塩水200gには、食塩が何g溶けているか。
答え(g):
下の表はミョウバンの溶解度(水100gに溶ける最大の質量)を示す。60℃の水100gにミョウバンを50g溶かした水溶液を20℃まで冷やすと、結晶として出てくるミョウバンは何gか。
| 温度(℃) | 20 | 40 | 60 |
|---|---|---|---|
| 溶解度(g/水100g) | 11 | 24 | 57 |
答え(g):
ろ過の操作で、ろ紙を漏斗に取り付けるときに注意すべきことを一つ答えなさい。
⑦ 応用・実力テスト形式
【密度の実験】4種類の金属の質量と体積を測定した
金属 質量(g) 体積(cm³)
A 135 50
B 210 20
C 158 20
D 89 10
参考:アルミニウム約2.7g/cm³、鉄約7.9g/cm³、銅約8.9g/cm³、銀約10.5g/cm³
金属Cの密度を求め、参考値と比べてどの金属と考えられるか答えなさい。
金属名:
金属Bの密度を求め、参考値と比べてどの金属と考えられるか答えなさい。
金属名:
20℃の水150gに、20℃での溶解度が32g(水100gあたり)である物質を60g入れてよくかき混ぜた。 すべて溶けきるか、溶け残りが出るか。溶け残りが出る場合はその質量も求めなさい。
溶け残り(g):
密度2.7g/cm³のアルミニウムでできた、体積40cm³のおもりがある。このおもりの質量は何gか。 密度の式を変形して求めなさい。
答え(g):
【ろ過と再結晶の実験】60℃の水100gに物質Xを80g溶かした水溶液を、20℃まで冷やしてろ過した
温度 物質Xの溶解度(水100gあたり)
60℃ 80g
20℃ 32g
上の実験について、(1)〜(3)に答えなさい。
(1) 60℃のとき、水溶液中に溶けている物質Xは何gか。
(2) 20℃まで冷やしたとき、ろ紙の上に出てくる結晶(溶け残り)は何gか。
答え(g):
(3) この実験のように、水溶液を冷やして溶質を結晶として取り出す方法を何というか。また、この方法が有効なのは、 物質Xの溶解度がどのような性質を持つ場合か、「温度」の語を用いて40字程度で説明せよ。
⑦は定期テスト後半相当(複合・記述)。外部は物差しのみ。
【溶解度の実験】物質X・Yの溶解度(水100gあたり、g)
温度(℃) 20 40 60
X(g) 32 64 85
Y(g) 34 36 38
上の表について、(1)〜(3)に答えなさい。
(1) 60℃の水100gに物質Xを80g溶かした水溶液を20℃まで冷やすと、結晶として出てくるXは何gか。
答え(g):
(2) 物質Yを同様に60℃の水100gに80g溶かそうとすると、そもそも溶けきれない。その理由を、表の数値を根拠に説明せよ。
(3) 物質X・Yのうち、水を冷やす再結晶に適しているのはどちらか。表から読み取れる根拠とともに答えよ。
⑧ 確認テスト
制限時間:20分 / 満点:100点(各20点×5問)
質量90g、体積10cm³の物質の密度は何g/cm³か。
水170gに食塩30gを溶かした食塩水の質量パーセント濃度は何%か。
水に溶けにくい気体を集めるのに適した方法を答えなさい。
液体の混合物を、沸点の差を利用して分ける操作を何というか。
飽和水溶液を冷やして、溶けきれなくなった物質を結晶として取り出す操作を何というか。
⑨ 完全解説
問題編の解答・解説は解説編を参照してください。
密度・濃度・溶解度の問題は、式に単位(g、cm³、%)を書き込みながら計算すると、割る数と割られる数を取り違えにくくなります。