理科 第1章
植物・生物の基本
問題編
植物のつくり・観察・分類の入口
① 導入
この章では、花のつくり・種子植物の分類・葉と茎と根のはたらき・光合成と呼吸の基礎・顕微鏡の使い方を学びます。 植物は「どの部分が、何のためにあるか」を対応させて覚えると、観察問題も計算問題もぐっと解きやすくなります。
1回の演習で全部できるようになる必要はありません。わからないところは繰り返しましょう。 用語を暗記するだけでなく、観察・実験の結果(数値・色の変化)から根拠を説明できることを、少しずつ目指していきましょう。
小学校の理科では、植物には根・茎・葉があり、種子から芽が出て育つことを習いました。「もう忘れた」と感じても大丈夫です。 観察するときは「何を見るか」「変える条件と変えない条件」を分けて記録する、という小学校の基本を思い出してから読み進めましょう。
② 基本概念
花のつくり
花は外側から、がく → 花弁 → おしべ → めしべの順に並んでいる。
花粉が柱頭につくことを受粉という。受粉すると子房は成長して果実に、 子房の中の胚珠は成長して種子になる。
種子植物の分類
種子でふえる植物を種子植物という。種子植物は、子房があるかないかで大きく2つに分かれる。
- 被子植物:子房があり、胚珠が子房の中にある(例:アブラナ、イネ、サクラ)。
- 裸子植物:子房がなく、胚珠がむき出しになっている(例:マツ、スギ、イチョウ)。
被子植物はさらに、子葉の数などで2つに分かれる。
- 単子葉類:子葉1枚、葉脈は平行脈、根はひげ根(例:イネ、トウモロコシ、ユリ)。
- 双子葉類:子葉2枚、葉脈は網状脈、根は主根と側根(例:アブラナ、サクラ、タンポポ)。
双子葉類は花弁のつき方でさらに分けられる。
- 離弁花類:花弁が1枚ずつ離れている(例:アブラナ、サクラ、エンドウ)。
- 合弁花類:花弁がもとでくっついている(例:アサガオ、タンポポ、ツツジ)。
葉・茎・根のつくりとはたらき
根から吸い上げた水や無機養分が通る管を道管、葉でつくられた栄養分が通る管を師管という。 道管と師管が集まった束を維管束という。
- 双子葉類の茎:維管束が輪のように並ぶ。根は主根と側根。
- 単子葉類の茎:維管束が散らばっている。根はひげ根。
葉の表皮には気孔という小さな穴があり、気体(酸素・二酸化炭素・水蒸気)の出入り口になる。 気孔は葉の裏側に多いことが多い。
光合成と呼吸
光合成は、葉緑体で光のエネルギーを使い、二酸化炭素と水から栄養分(デンプンなど)と酸素をつくるはたらきである。
呼吸は、酸素を使って栄養分を分解し、生きるためのエネルギーを取り出すはたらきである。二酸化炭素と水ができる。
植物は昼も夜も呼吸をしている。光合成は光が当たっているときだけ行われ、光が強いときは光合成による酸素の放出量が呼吸による酸素の消費量より多くなる。
顕微鏡・双眼実体顕微鏡の使い方
顕微鏡の倍率は接眼レンズの倍率 × 対物レンズの倍率で求める。倍率を高くすると、見える範囲(視野)はせまくなり、暗くなる。
操作の基本順序は次の通り。
- 対物レンズを最も低倍率にしてからプレパラートをステージに置く。
- 反射鏡やしぼりで視野の明るさを調整する。
- 横から見ながら対物レンズとプレパラートをできるだけ近づける。
- 接眼レンズをのぞきながら、対物レンズとプレパラートを遠ざける方向にピントを合わせる。
双眼実体顕微鏡はプレパラートを作らずに、観察物を立体的に観察できる装置である。倍率は普通20〜40倍程度で、ふつうの顕微鏡より低い。
③ 図解
花のつくり(断面図)
めしべ
│
花弁 ┃ 花弁
\ ┃ /
\おしべ/
\|/
─── がく ───
(断面)子房[中に胚珠]─柱頭─花柱─子房
種子植物の分類
種子植物
├─ 裸子植物(子房なし)……マツ・スギ・イチョウ
└─ 被子植物(子房あり)
├─ 単子葉類(平行脈・ひげ根)……イネ・トウモロコシ
└─ 双子葉類(網状脈・主根と側根)
├─ 離弁花類……アブラナ・サクラ
└─ 合弁花類……アサガオ・タンポポ
光合成と呼吸の物質の出入り
【光合成(光があるとき)】
二酸化炭素・水 ──[葉緑体・光]──> 栄養分・酸素
【呼吸(一日中)】
栄養分・酸素 ──[細胞]──> 二酸化炭素・水・エネルギー
顕微鏡の視野と倍率の関係
低倍率:視野広い・明るい・見える範囲が大きい
↓ 倍率を上げる
高倍率:視野せまい・暗い・見える範囲が小さい
④ 例題
接眼レンズが10倍、対物レンズが40倍のとき、顕微鏡の倍率は何倍か。
アブラナの花を観察したところ、花弁が4枚あり、1枚ずつ離れていた。この花は離弁花類か、合弁花類か。
前日の夜からアルミホイルで葉の一部をおおって光が当たらないようにした。翌日、光を3時間当てた後、 湯につけてやわらかくし、ヨウ素液につけた。青紫色に変化するのは、光が当たった部分と当たらなかった部分のどちらか。
ある葉の葉脈を観察すると、網目のように広がる網状脈であった。この植物は単子葉類・双子葉類のどちらと考えられるか。
⑤ 基本問題
【小学校の復習】植物の体は、根・茎・葉に分けられる。このうち、水を土から吸い上げるのはどこか。
【小学校の復習】次のうち、植物の体の部分ではないものを選びなさい。
花の各部分を、外側から並んでいる順に選びなさい。
裸子植物にあてはまる植物を一つ答えなさい。
道管と師管のはたらきについて、正しいものをすべて選びなさい。
呼吸によって放出される気体は何か。
単子葉類の根の特徴を答えなさい。
顕微鏡でプレパラートを観察するとき、最初に対物レンズをどうしておくべきか。
⑥ 標準問題
双眼実体顕微鏡と、ふつうの顕微鏡(一般の光学顕微鏡)の違いを、「プレパラート」「立体」の2語を用いて説明しなさい。
オオカナダモを入れたBTB溶液(緑色)の入った試験管を2本用意し、一方には十分に光を当て、もう一方は光を当てずに暗所に置いた。 数時間後、光を当てた試験管は青色に、暗所に置いた試験管は黄色に変化した。光を当てた試験管が青色(アルカリ性)に変化した理由を、 「光合成」「呼吸」「二酸化炭素」の語を用いて説明しなさい。
対物レンズを40倍にしたときの視野の直径は0.25 mmであった。同じ顕微鏡で対物レンズを10倍に変えたときの視野の直径は何mmか。 「倍率 × 視野の直径 は一定である」という関係を使って求めなさい。
答え(mm):
受粉から種子ができるまでの流れを、「花粉」「柱頭」「子房」「胚珠」「種子」の語をすべて用いて説明しなさい。
⑦ 応用・実力テスト形式
【植物の分類実験】次の6種類の植物を観察して分類した。
イネ トウモロコシ アブラナ マツ スギ サクラ
上の6種類の植物のうち、裸子植物に分類されるものをすべて答えなさい。
上の6種類の植物のうち、単子葉類に分類されるものをすべて答えなさい。
次の実験結果を見て答えなさい。ふ入りの葉(緑色の部分と白色の部分がある葉)を一晩暗所に置いた後、 光を数時間当ててからヨウ素液で検査した。
| 部分 | 色(実験前) | ヨウ素液での色の変化 |
|---|---|---|
| 緑色の部分 | 緑 | 青紫色に変化した |
| 白色の部分 | 白 | 変化しなかった |
この結果から、光合成が行われるために必要なつくりは何か。
問題15の実験で、観察の前に葉を一晩暗所に置いた理由を、「デンプン」の語を用いて40字程度で説明しなさい。
【光合成に必要な条件の実験】ふ入りのアサガオの葉を使い、次のA〜Cの条件で実験を行った
条件A:一晩暗所に置いた後、葉の一部をアルミホイルで覆い、光を当てた
条件B:一晩暗所に置いた後、そのまま(覆わずに)光を当てた
条件C:一晩暗所に置いたまま、光を当てなかった
その後、それぞれヨウ素液で色の変化を確認した
上の実験について、(1)〜(3)に答えなさい。
(1) 条件Cを行う目的として最も適当なものを選びなさい。
(2) 条件Aで、アルミホイルで覆った部分と覆わなかった部分では、ヨウ素液の反応にどのような違いが出ると考えられるか。
(3) 条件A・B・Cの結果を比べることで、光合成には何が必要だとわかるか。3つの条件の違いを根拠に40〜60字で説明しなさい。
⑦は定期テスト後半相当(複合・記述)。外部は物差しのみ。
【光合成の実験】オオカナダモに光源からの距離を変えて光を当て、1分間に発生する気泡の数を数えた
光源からの距離(cm) 10 20 40
気泡の数(個/分) 48 24 12
上の実験について、(1)〜(3)に答えなさい。
(1) 光源からの距離が2倍になると、気泡の数はどう変化しているか、表から読み取れる関係を選びなさい。
(2) この実験で発生している気泡は、主に何という気体か。
(3) 表の関係から、光の強さと光合成の速さにはどのような関係があると考えられるか、40字程度で説明しなさい。
⑧ 確認テスト
制限時間:20分 / 満点:100点(各20点×5問)
接眼レンズ15倍、対物レンズ10倍のときの顕微鏡の倍率は何倍か。
子房がなく胚珠がむき出しになっている植物のグループを何というか。
光合成でつくられる栄養分(デンプンなど)と気体のうち、放出される気体は何か。
根から吸い上げた水や無機養分が通る管を何というか。
双子葉類の葉脈の特徴を選びなさい。
⑨ 完全解説
問題編の解答・解説は解説編を参照してください。
植物の分類問題は、まず「子房があるか」→「子葉が何枚か」→「花弁がくっついているか」の順に枝分かれをたどると迷いません。